建設業の社会保険未加入問題
エピソード 5
同じ建設業の仲間から聞いたんですが、建設業では社会保険に入っていないとペナルティがあるというんですが、本当でしょうか?
黒猫社労士
建設業は社会保険の未加入が特に多いとして対策が協議されていましたが、平成24年5月に省令が公布されました。
ここでいう社会保険とは、雇用保険・健康保険・厚生年金保険のことです。
① 平成24年7月から経営事項審査の評価が厳しくなります。
3保険すべて未加入 現行▲60点 → ▲120点
→入札資格に差がでる。
② 平成24年11月から許可申請書に、保険加入状況を記載した書面の添付が必要
建設業の許可・更新時に添付なので、原則 5年ごとに添付が求められる。
未加入の場合は、国・都道府県の建設業担当部局が加入指導を実施する。
→加入していないと加入を求められ、許可や更新ができないことはないと
思われるが、厳しい指導が予想される。
(法律では法人は強制適用ですからね)
③ 平成24年11月から施工体制台帳に、保険加入状況の記載が必要
下請企業は、元請企業に加入状況の通知が必要
さらに国・都道府県の建設業担当部局は営業所または工事現場へ立入検査
し元請企業による下請企業への指導状況を確認する。
→大手からの受注は社会保険加入が条件になるかもしれない。
建設業は厳しいですね。
エピソードと黒猫社労士は架空のお話です。
雇用保険に入るには
エピソード 4
労働基準監督署で労働保険関係成立届が完了しました。
雇用保険に入るにはどうすれば良いでしょうか?
黒猫社労士
雇用保険に入るには雇用保険に入れる従業員がいることが必要です。
基本的には週に20時間以上働く人は雇用保険に入ることになります。
取締役及び監査役は原則として雇用保険には入れません。
代表取締役以外の取締役で労働者性が強い場合は、兼務役員等の雇用実態証明書を所轄ハローワークに提出して認められれば雇用保険に入ることができます。
労働者性は総合的に判断しますので、添付書類を確認して(ハローワークに電話します)ハローワークに行ってみましょう。
給与については役員部分と労働者部分を分けることが必要です。
失業給付は労働者部分について支給されます。
① ハローワークで下記の書類をもらってくる。(またはWebよりダウンロードする)
⑴雇用保険適用事業所設置届
⑵雇用保険被保険者資格取得届(人数分)
雇用保険事務手続きの手引き
(初めてなので手引きをいただきたいと声をかければもらえます)
② 手引きを見ながら ⑴ と ⑵ の届を作成する。
⑴についての注意点
裏に地図を書く欄があるが、グーグルの地図をプリントアウトしても大丈夫
裏の代表者印は登録されます。(忘れずに押しましょう)
⑵についての注意点
雇用保険に入れる従業員全員の賃金台帳、出勤簿、雇用契約書を用意する。
雇用保険被保険者証で被保険者番号を確認する。
(ない場合は履歴で調べてくれるので履歴書を持って行く)
被保険者番号は一人に一番号がふられています。
本人が雇用保険に入ったことがないと言っていても案外過去に番号を
ふられていることが多いので、注意しましょう。
③ ハローワークに書類を持って行く。
労働基準監督署に持って行ったのと同じ書類(謄本等)
労働保険関係成立届の控
上記 ① と ② の書類一式
代表者印
ハローワークは月初めは混んでいるので、中旬に行くと良いです。
税務署に提出した「事業開始届」「給与支払事務所の開設届」の控も持って
行ったほうが良いです。 ときに確認されることがあります。
次は社会保険ですね…こちらはチョット面倒
エピソードと黒猫社労士は架空のお話です。
労災保険に入るには
エピソード 3
会社を設立しました。
労災保険に入らなければいけないと聞きました。
どういう手順が必要でしょうか?
黒猫社労士
法人全ては労災保険に加入しなければなりません。
ただ、役員のみであれば加入していなくても問題にはならないでしょう。
しかし、一日でも一人でも雇った場合は労災保険に加入が必要です。
① 事業所の所轄労働基準監督署を探す。
② 法人の謄本を用意する。(個人事業者ならば住民票)
③ 事業所の建物が賃貸の場合は、賃貸借契約書の写し
④ すでに従業員がいる場合は全員の賃金台帳、
従業員がいない場合は向こう3月までに予定している賃金の総額
⑤ ②③④と代表者印を持って①の労働基準監督署に行って相談する。
(建設業はかなり違いますが、より複雑なので上記の必要書類の他に元請工事がすでにあれば請書も持って行ったほうが良いでしょう)
その場で監督署の人が教えてくれますので、その通りに書類(保険関係成立届)を作成します。
次に労働保険料の前払いである概算保険料の書類を作成します。
④の賃金台帳等で設立から翌年の3月までの賃金の総額から概算保険料を監督署の人が計算してくれます。
納付書を渡されますので、50日以内に銀行等で納付します。
自分で書類を作成したい場合は、①のホームページを見ましょう。
案外に簡単です。(建設業は難しいかも)
事業の種類で悩む場合は労働基準監督署へ電話をして聞くといいです。
労働基準監督署はあまり行ったことがない人が多いと思いますが、すごく親切なので、書き方とかで 悩むより相談に行ったほうがいいと思いますよ。
来年の6月くらいに労働保険の申告について書類が送られてきます。
そのお話はまたの機会に。。。
労災保険の成立が終わると雇用保険の加入ができます。
明日に続く…
エピソードと黒猫社労士は架空のお話です。
病院での自己負担割合が3割の高齢受給者証が2割に
エピソード 2
協会けんぽから健康保険高齢受給者基準収入額適用申請書が送られてきました。
これは何でしょうか?
何をすれば良いのでしょうか?
黒猫社労士
7月に「健康保険高齢受給者基準収入額適用申請書」が勤務先に送られてきます。
任意継続の方は自宅に送られてきます。
協会けんぽの高齢受給者証を使っている70歳以上の方で申請の対象となる場合は、9月から病院に払う自己負担金が3割から2割(平成25年3月までは1割)に変更できるかもしれません。
申請対象は下記のとおりです。
70歳以上の被保険者、
または70歳以上の被保険者に扶養されている70歳以上の被扶養者の方
↓
①自己負担割合が3割の高齢受給者証を持っている方
②標準報酬月額 28万以上
↓
前年の収入が基準となる収入に満たない方
※ 基準となる収入とは
被保険者と70歳以上の被扶養者全員の合計収入
⑴70歳以上の被扶養者がいる ⇨ 520万円
⑵70歳以上の被扶養者がいない ⇨ 383万円
⑶後期高齢者医療制度に加入のため被扶養者でなくなった方がいる
⇨383万円以上520万円
平成23年の収入についての基準額です。
所得ではありません。
収入額の記載のある課税証明書などを添付して申請します。
何でも値上がりのご時世です。 医療費くらいは安くなったらうれしいですよね。
エピソードと黒猫社労士は架空のお話です。
健康保険証の遠隔扶養者と高齢者
エピソード1
「来月から田舎の母がでてきて同居することになりました。社会保険の手続きが必要でしょうか?」
黒猫社労士
以前から健康保険の扶養に入っていたなら、一人に一枚の健康保険証が発行されているので、問題ないでしょう。
会社は健康保険被扶養者異動届で別居から同居へ変更しておけば良いでしょう。
お母さんが75歳になるなら、高齢者医療保険に入るので市役所で相談しましょう。
75歳以下でも障害等で高齢者医療保険に入る場合があります。
別居で扶養になれるのは、配偶者・子・孫・弟妹・父母・祖父母です。
兄姉は同居でなくては扶養になれません。
生計維持要件もあります。
よく税法上の扶養は103万円で健康保険の扶養は130万円と言われています。
130万円以下でも扶養する方の収入の半分以下でなくてはいけないという要件もあります。 ただ、具体的な事情が妥当と認められれば扶養認定してくれます。
今は健康保険被扶養者異動届で税法上の扶養を会社が確認することで収入証明が必要なくなったので面倒なことがなく大部分の方は扶養になれますね。
エピソードと黒猫社労士は架空のお話です。