複数の会社から給与をもらっている人
エピソード 7
二箇所の会社で籍があり役員報酬として給与をもらっています。
所得税や社会保険料はどういう徴収方法になるのでしょうか?
黒猫社労士
複数の会社から給与をもらっている場合は、代表取締役なのか取締役・監査役なのか従業員なのかなどで取扱いが少し違ってきます。
ここでは二箇所とも取締役としてお話します。
所得税
① 主たる給与か従たる給与かを選ぶ。
主たる給与とは「給与所得者扶養控除申告書」を提出している会社からもらう
給与
従たる給与とは、主たる給与を支払う会社以外の会社からもらう給与
② 主たる給与からの源泉徴収税額は、税額表の「甲欄」
「甲欄」は基礎控除や扶養控除を少しおりこんだ税額なので、毎月の
源泉 徴収税額が少ないです。
従たる給与からの源泉徴収税額は、税額表の「乙欄」
「従たる給与についての扶養控除申告書」を提出している場合は
若干の控除が認められている)
③ 従たる給与については年末調整ができないので、本人が確定申告をする 必要がある
社会保険
① 通常は加入条件(※)を満たしている会社で社会保険に入る。
所得税の主たる給与の会社で入るのが普通でしょう。
ただ、実態を説明すれば従たる給与の会社で入ることもできます。
※1日または1週間の所定労働時間が一般社員の3/4以上で1ヶ月の所定労働
日数が一般社員の3/4以上あること(原則)
② 二箇所ともに加入条件を満たしている場合は「二以上事業所勤務届」を提出する
加入条件を一方が満たせば他方は1/4となり両方は入れないはずですが
代表取締役や同族会社の役員などは二箇所とも常勤とみなされることが
多いです。
でも、実態が常勤でなければ主張することが大切です。
年金事務所に会社の実態を理解してもらいましょう!
③ 2社の報酬を合わせて社会保険料が決まる。
2社ともに資格取得届や算定を行い報酬月額の按分で社会保険料が徴収される。
2社で資格取得届を提出するが、もちろん健康保険証は1枚、ただ事務上以前の
保険証は回収され新しい保険証が発行される。
④ 2社の管轄や保険者が違っている場合は、保険者選択届で管轄年金事務所を選択
できる。
雇用保険
① 役員でも兼務役員で雇用保険に入っている場合を想定
② 各社の労働時間で判断し 2社の労働時間は合わせることはしない。
主たる賃金をもらっている会社で雇用保険に加入する。
所得税の主たる給与の会社でもなく、社会保険のように労働時間で
判断されるわけでもなく、主たる賃金とはもらっている給与の総額で
判断する。
【生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一つの事業主のもとでのみ
被保険者となります】
(夜キャバクラでバイトしている人で昼の正社員の会社の給与がすごく少ない
場合、キャバクラの会社で雇用保険に入ることになる???
う~んどうなんだろう!
生計維持とは雇用の安定性も考慮されるのかな
キャバクラに安定性がないと言い切ることはできないけど・・・)
最近は複数の会社で働くことや、退社後にアルバイトや事業を行うことが 珍しいことではなくなりました。 法律は、働き方の変化についていけていません。
派遣問題をはじめとする非正規雇用問題も法律の想定能力に原因のひとつがあるのでは…
エピソードと黒猫社労士は架空のお話です。